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先人の知恵 by 濱田耕司



第8話「日本瓦は無添加素材」


今回は耐風性、遮音性、断熱性、防湿性を考え、土葺工法という昔ながらの工法で職人さんにお願いしました。もちろん、基礎や耐震補強も十分に施してあります。

いぶし銀の輝きを放つ、淡路のいぶし瓦


 今回施主様の要望で、どうしても「いぶし瓦」で屋根を葺き替えて欲しいという事で、色々と調べてみる事にしました。
いぶし瓦の代表的な瓦に、私たちの住む兵庫県の淡路瓦があります。淡路瓦の歴史は古く、淡路国分寺(三原町)等の発掘調査から奈良時代に始まったと推定されており、全国でもっとも古い産地です。淡路瓦は寛永年間に現在の西淡町津井を中心に発展し、明治時代に入ってからの急速な需要の伸びに支えられ産地を形成したそうで、もともと淡路島は原料粘土が豊富な上に大消費地である京阪神地域への近接性や海上輸送の利便性などにより大きな発展を遂げてきました。
現在、淡路には約100の窯元があり、そのうち7割が西淡町に立地しています。いぶし瓦の産地としては日本で一番生産量の多い産地であり、瓦の総生産量でも三河に続き、日本第2位となっています。
いぶし瓦とは製造工程で瓦をいぶすことで炭素膜をつくる瓦のことです。瓦を素焼きすると粘土の品質にもよりますが、赤みがかったオレンジ色になります。しかし、この素焼きで屋根を葺くと湿度の高い日本ではすぐに黒ずみ始めます。そこであらかじめ瓦をいぶし、炭素膜をつくり、色合いの後退を防いでいるのがいぶし瓦の特徴です。いぶし瓦は約1400年前から伝わる日本古来の瓦焼きの技術で、粘土でつくった瓦を1000度の熱でいぶすためにかつては松葉を使っていましたが、現在では、ブタンガスを使っているそうです。不完全燃焼した炭素が瓦に付着し、瓦はまさに「いぶし銀」のような光沢を放ちます。この淡い銀色の色艶は日本古来の景観美を支えてきました。
 しかし、最近では、日本瓦は重く、大きな地震が起こると家を倒壊させてしまう危険がある。という事を心配されていらっしゃる方も多いと思います。実際、1995年1月に起こった「阪神・淡路大震災」では、約10万棟の建物が全壊し、多くの犠牲者を出しました。当時の多くの報道で「建物が倒れたのは、重い瓦のせいだ!」と言われました。しかし、本当に「瓦」のせいだったのでしょうか?当時の調査によると、瓦だけが軒下に落ちてしまったり、瓦がきれいに屋根にのったまま倒れている建物、その周囲は全・半壊がほとんどなのに数件だけあまり被害という被害を受けていない建物も見られました。これは一体どういう事なのでしょうか?この原因の一つは、瓦の施工方法に問題があった事、そしてもう一つは老朽化した構造的に弱い建物が多かったという事です。神戸市を含む関西地区は、関東地区に比べて建築基準法改正以前に建てられた古い住宅が多く、シロアリや柱・土台などの構造材の腐食により強度及び体力が低下していました。さらに壁配置の偏りや基礎部の接合不十分な構造に屋根の重さがマイナスに働いたと考えられています。実際、きちんとした基礎や工法による建物に葺かれた日本瓦は震度7にも耐えられるという結果も報告されています。

日本瓦の優れているポイント
  1. 有害物質が一切含まれておらず、通気性もよく人に優しい素材でできています。

  2. 100%リサイクルされ、土にかえりますので、無公害で、環境に優しい素材です。

  3. 塗装の塗り替えなどの必要もなく耐久性に優れた、経済的な素材なのです。

  4. 断熱性に優れた日本瓦は、屋根全体がエアコントロールとして機能し、室内の温度を一定に保ちますので、夏は涼しく、冬は暖かい快適で、年間の冷暖房費が節約できるのです。

  5. 風で運ばれてくる砂塵や塩風の塩分、また最近話題となっている酸性雨は屋根材を磨耗させたり腐食させる屋根の大敵ですが、日本瓦なら強度を損なうことなく瓦の美しさを長く保ちます。

  6. 急激な温度変化でもひび割れや剥離をおこすことはありません。JIS規格の定める基準をはるかに上回る優れた強度も備えています。

  7. 1000℃以上の高温でじっくり焼き上げられた瓦は完全な不燃材であり耐火材です。万一の火災でもひび割れ、変形、溶解もせず有毒ガスも発生しません。また、火の粉にも安全で屋根からの類焼も防ぎます。

  8. 適切に施工された瓦屋根は地震や台風でもずれたり、落下することなく安全です。屋根の重量も軽量化されますので建物に負担をかけません。

     今回、色々調べていくうちに、日本瓦の素晴らしさをたくさん知る事ができました。「日本瓦」はまさしく、わたくし共が推奨する「無添加」な素材だと言えます。1400年と言われる瓦の歴史が証明する耐久性の良さと、日本建築の美しさを引き立たせる「日本瓦」をこれからも推奨していきたいと思います。

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