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先人の知恵 by 濱田耕司



第4話「忘れないで長押(なげし)」



皆さんの住まいには長押はありますか?というより長押って何?と思われる方も多くなっているかもしれませんね。和室自体がないという住宅も最近では珍しくない時代です。
長く押すと書いてナゲシ。柱と柱をつなぐ水平材のことを言います。大釘で打ちとめて固定し、取り付ける場所により呼び名が変わり、土台に接するものは地長押(じなげし)、窓の上部にあると内法長押(うちのりなげし)、窓下にあると腰長押(こしなげし)などと言います。
なんで「長く押す」のでしょうか? 柱と柱を挟み付けて釘で打ちとめているからだと思います。ホゾを刻んで接合するのではなく、柱でし付けるからでしょう。1間、2間というさの水平材だから長押と言うといわれ、ナガオシ→ナゲオシ→ナゲシ となっていったと言われています。
上記にあるように、本来、長押はれっきとした構造材でした。しかし、中世初頭に大仏様、ついで禅宗様が、奈良中期から平安期の長い国交断絶を破って、再び中国の高度な文化を運んできました。それは一言でいえば、建築構造技術の合理的発展であったと言われています。その中に貫通する通し貫の多様という技術があり、それ以降、大仏様も禅宗様も長押を使わないで貫だけで柱を緊結し、しかも細い柱で広い柱間をつくる事が可能になりました。この構法は日本の伝統的な和洋や、やがて住宅にも影響を及ぼし、貫構法が普及していきました。そして、長押には構造上の耐力は期待されなくなり、徐々に、立面上の意匠を決定するときの基準線として、くっきりと水平に連続する部材として意識される度合いが強くなっていきました。それは、水平に連続する空間の流れが基調となって、日本建築がつくられてきたことと軌を一にした現象であって、外観も、内観も、長押、特に内法長押を基準として、高さを決定する木割の技法として定着していったのである。現在では構造上役割を果たしていない長押ではあるが、和風空間の秩序の格式を決定する、最も要の部材としての位置を守り通してきたのである。
古き良き時代の風景となりつつある気がしますが、毎朝、長押に父親が次の日会社にきて行くスーツやシャツがきちんと掛けてあり、また、会社から帰ってくると、そこには寝間着である浴衣が掛けてある。そんな風景を長押からイメージします。また、夏には寝床の蚊帳も長押に引っ掛けていました。着物や浴衣を着たときには、しまう前に風通しをさせるために長押に吊る事は欠かせませんよね。長押のなくなった現在では、カーテンレールなどに掛けたりしていませんか?
最近の、洋風の家は柱を見えなくして壁を大きく見せる大壁という壁にしますが、柱や横材(長押)などの存在のはっきりする真壁という壁も家の成り立ちがよくわかっていいものです。

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